行政書士になると専門分野を持つべきだとよく言われます。
行政書士は1万以上の書類を作成できるとされており、行政書士業務は多岐にわたります。
その中から選択して、自分の専門分野を作るのです。
この専門分野は果たして本当につくった方が良いのでしょうか?
この記事では、これら疑問について現役の行政書士が解説していきます。
行政書士は専門分野を持つべきか?

専門分野を持つべき理由として己のブランディングがしやすいとか、他の業務を覚えなくて良い、効率が良いなど様々の意見があります。
たしかに、専門分野に特化しておればブランディングはしやすく効率はいいかもしれません。
しかし、実際それが仕事の受注につながるかどうかは疑問視するところがあります。
実際、人気のある事務所は、どこもよっぽどのことがない限り、行政書士業務のどんな仕事もうけています。
なぜなら行政書士事務所だからです。
それも専門外だからといって依頼を断るのは、自分の勉強不足を逃げ口上にしているだけだと思います。
また、実際、依頼を一度断ると、その人からの次の依頼や紹介もなくなり、自ら受注のチャンスを逃すこととなります。
許認可行政書士ですでにブランディングされている
許認可業務と言えば。行政書士業務の代名詞です。
一般に言われている、専門分野とはこの許認可業務をさらに細分化した業務、例えば建設業許可などの事を指します。
行政書士業務は士業の中でもどちらかとニッチ産業に入りますが、そのニッチ産業の許認可業務をさらに建設業許可専門と謳ってしまうと、ニッチ産業の中のニッチ産業となり、窓口が狭くなりすぎます。
そのため、大変受注しにくくなり、結果廃業へと追い込まれてしまうのです。
「許認可業務専門で許認可なら何でも任せてください!行政書士ですから。」で、十分相手に伝わっていますし、行政書士というブランディングもできているます。
行政書士は許認可業務のプロである
行政書士は許認可の業務のプロフェッショナルです。
行政書士が許認可業務をしなければいったい何をするのですか?という信念が私にはあるからです。
行政書士には、許認可業務以外にも相続や離婚、記帳など権利義務に関する手続きができることとなっています。
しかしながら、行政書士に与えられている権利は不完全で、行政書士一人では完遂することが難しいです。
また、これらは他士業が得意としているところで、専門知識はよっぽど勉学を積まなければ、他士業と渡り合えることができません。
しかしながら、許認可業務は行政書士の専売特許業務であるため、他士業の介入を許すものではありません。
他士業と対等以上に渡り合えるのが許認可業務なのです。
〇〇専門家になりたいのか?行政書士になりたいのか?
上述してきたのは、行政書士として活動をしたい場合であることを前提として説明してきました。
もし、〇〇専門家になって、そのサポート業務として、行政書士業務における手続きが必要であるというならば、話は別です。
そういった場合は、その業務に絞るべきです。
例えば、農業支援等の業務をしたい場合、農地転用以外にも行政書士業務の以外の様々な手続きなどがあると思います。
その場合は、許認可行政書士を謳ってもあまり意味をなしません。
農業支援を行っている行政書士で農業の専門家と謳うべきです。
つまり、〇〇専門家として活動したいのか?行政書士をしたいのか?によって、異なってくるのです。