行政書士の「金なし」「コネなし」自宅開業とそのメリット



行政書士はオフィスビルなどでオフィスを借りて開業する他、自宅の一室をオフィスとして開業の方法があります。

自宅の一室をオフィスとして開業した場合は、自宅開業と呼ばれ、多くの新人行政書士はこの自宅開業から始めます。

何を隠そう、この記事を書いている私も自宅開業から始めました。

この記事では、私の経験をふまえ、この自宅開業のメリットやデメリットなどについて解説していきます。

解説は、現役の行政書士がします。

自宅開業のメリットとは

自宅開業のメリットとは
自宅開業は、自宅の一室をオフィスにするということで、家賃がかからないことが最大のメリットです。

「金なし」「コネなし」で開業するわけですから、行政書士登録当初はまともに売り上げがたちません。

そのため、事務所経営が軌道に乗るまで、なんとかランニングコストを抑えておきたいのが心情です。

また、月々のランニングコストを抑えておけば、経費の支払いも少なくなるので、心理的負荷が軽減されます。

オフィスビルのオフィスを賃貸で借りると、その分月々のランニングコストが高くなるわけですから、早くお客さんを見つけ、売り上げを作らないといけない、という焦りがでてきます。

自宅開業はそういった心理的負荷を回避するのに、もっとも有効手段であります。

また、その他の自宅開業のメリットとして、事務所までの通勤がないため、その分の時間を実務の勉強の打ち込んだり、ブログを書いたりと他にあてることができます。

また、急な問い合わせにもすぐに対応することができ、こういった仕事にあてれる時間を作ることができるのも、自宅開業の大きなメリットと言えます。

自分で自分を研修する

なぜそういった時間が必要かというと、弁護士や税理士、司法書士等の他士業は開業するにあたっての研修期間が設けられています。

しかしながら行政書士は登録してすぐ開業となりますので、事務所運営や実務のノウハウを知らない素人に毛がはえた程度の人が始めるととなります。

そのため、行政書士に至っては、自分で研修期間という時間をつくり、自分で運営ノウハウを仕入れ、実務を勉強し、他士業が受ける研修と同等程度の研修を自分で行う必要性があるのです。

はじめは自宅開業で力を蓄える

はじめは自宅開業で力を蓄える
行政書士登録したからといって、すぐに仕事ができるわけではありません。

お客さんの獲得はもちろん必要なのですが、先ずは行政書士業務の知識が必要だからです。

行政書士業務は業務範囲が広いのが特徴的ですが、逆にその業務範囲が広いことが仇となり、すべての業務をカバーすることができません。

実務のホウハウまもちろんのこと、多種にわたる業務の、ぞれぞれのコスパ性や、初歩的にどんな業務があるのかわからない状態だと思います。

そのため、行政書士の事務所を運営する準備期間としてまずは、自宅開業からはじめて、情報取集に力を入れることをお勧めします。

行政書士登録イコール開業ではなく、先ず情報収集のために行政書士登録を行い、事務所運営のノウハウを十分蓄積するまでの勉強期間として、ランニングコストがかからない自宅開業を選択するのが、非常に合理的であるといえます。

この勉強期間に事務所運営のノウハウを仕入れ、少しずつ実務ができるようになってきた頃に、改めて独立オフィスを構えて、開業としても遅くはないのです。

つまり、開業の概念を少しずらすのです。

誰と競争しているわけでもないので、同業者と張り合ってスタートダッシュをしようと考える必要はないのです。

それよりも失敗しない事務所経営を心掛けるほうが、合理的であると言えます。

自宅開業のデメリットとは

これまで自宅開業のメリットを挙げてきましたが、それではデメリットの方はどうでしょうか?

もちろん自宅開業にもデメリットが存在します。

最大のデメリットとして挙げられるのは、お客さんを事務所に呼びにくいという点があります。

たとえ、自宅の一室をオフィス用に改装したからといっても、基本的には居住空間なわけですから、初回のお客さんは呼びにくくなります。

こういった状況をカバーするには、自らお客さんのところへ出向くことが必要となります。

そのため、時間的なロスに繋がることが大いにあります。

行政書士を10年続けたきた私でさえも、お客さんのところに出向くことは多いですが、全てではなく、中には事務所に来ていただく方も多数いらっしゃいます。

当方の事務所に来ていただける場合は、時間的にすごく助かります。

また、これから取引するのだから、どうしても事務所に一度訪問し、どういった事務所かチェックしておきたいというお客さんも中にはいます。

そういった方に、自宅開業だから来てほしくないと伝えると不審に思われたりします。

最悪の場合、依頼を断られたりもするので、ビジネスチャンスを逃すこともしばしばとなります。

売り上げを上げたいのであれば自宅開業から脱却しよう

行政書士を開業したての頃は、多くの方が自宅開業を選択します。

また、上述したように私のお勧めでもあります。

これはもちろんコスト面を考えてのことでが、開業の準備ができ、売上げを伸ばしたいのであれば、独立オフィスへの移行が必要不可欠だといえます。

私が実際、独立したオフィスを構えてメリットを感じたことと言えば、上述したようにお客さんを呼びやすくなったことで、また、それに比例するように売上げも伸びるようになったこととなります。

お客さんもお金を出す側なので、仕事をきっちりしてほしいというところが本音です。

独立したオフィスをもっていない→オフィスを構える経費がなし→食えてない→仕事ができない、と判断され、敬遠されてしまうのです。

もちろん全部のお客さんがそうであるということではないのですが、そう判断する層が一定あるといっても過言ではありません。

独立オフィスを構えることによって、そういった層を囲い込むことができ、ビジネス的には有利に動いたことが結果でありました。

私の経験上ですが、その場合ですと、2割~3割は売り上げが伸びることとなります。

もちろん、独立オフィスになったからといって、特別な営業をしないでの状態での話です。

そのため、現状の売り上げに満足しないで、さらに売り上げを伸ばしたい方は、独立オフィスを構えることをお勧めします。

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