DMIとは、市場の状態を見極めるために、米国テクニカルアナリストのJ.W.ワイルダーによって考案されたオシレーター系のテクニカル指標です。
RSIやストキャスティクスなどは逆張り系のオシレーター系指標なのですが、一方に強く傾くトレンドの相場ではほとんど機能しません。
その欠点をカバーするための順張りのオシレーター系指標として、トレンドの有無と強弱を探ろうと考案されたものです。
このJ.W.ワイルダー氏によって開発された指標には他にもパラボリックとRSIというものがあります。
目次
DMIの計算式
DMIの計算式はかなり複雑です。そのためかなりはしょっています。
DMIを使う時はこの計算式を意識しなくても特に支障はないので、こんな風に計算されているんだ、というような感じでサラっと流してください。
DMIは、「+DI」「-DI」「ADX」の3本の線で表されます。
+DI・・・株価の上昇の大きさを示す
-DI・・・株価の下降の大きさを示す
ADX・・・株価のトレンドの強さを示す
方向性指標の計算
- +DM=当日の高値-前日の高値
- -DM=前日の安値-当日の安値
+DI=(14日間の+DMの合計)÷(n日間のTRの合計)×100⇒上昇の強さ
-DI=(14日間の-DMの合計)÷(n日間のTRの合計)×100⇒下落の強さ
※14日設定
ADXとは
株価のトレンドの強さを示します。
・ディレクショナル・ライン(+DIと-DI)の差
・トレンドが強く、継続する場合⇒2本線の差は拡大⇒ADXは上昇
・トレンドが弱く、反転するかレンジ相場に移行する場合⇒2本線の差は縮小⇒ADXは下落
DMIの使い方
「+DI」と「-DI」で判断
「+DI」と「-DI」は、ある期間の価格の動きのうち、±方向の割合を表すもので「ADX」は、トレンドの強さを表しています。
「+DI」が「-DI」より上にの状態が上昇トレンド、「+DI」が「-DI」より下の状態が下降トレンドとなります。
上のチャートのように「+DI」が「-DI」を下から上に抜いたとき(ゴールデンクロス)が買いサインで、 「+DI」が「-DI」を上から下に抜いたとき(デッドクロス)が売りサインです。
また、「ADX」は移動平均線ですので、相場の強さを見るものとなり、ラインが上向いている時には上昇トレンドを意味し、ラインが下向いている時には下降トレンドを意味します。
「ADX」と「+DI」、「-DI」で判断
「+DI」と「-DI」のクロスだけでは、騙しが多いという点があることから、「ADX」も組み合わせれば騙しを減らせれます。
トレンドがはっきりしない時は、「ADX」の値は低くなっていますが、トレンドがはっきりしてくると「ADX」の値は上昇してきます。
そして、トレンドが終わるとADXの値は下がり始めるのですが、この性質を利用して以下のように判断します。
「+DI」が「-DI」を下から上に抜いている、かつ「ADX」が上昇過程にる場合は買いと判断します。
逆に、「+DI」が「-DI」を上から下に抜いている、かつ「ADX」が下降している場合は、売りと判断します。
こうして「ADX」と「+DI」、「+DI」をミックスして使うと、より騙しが少なくなり、勝つ確率が高くなります。
その他のテクニカル指標
テクニカル指標には大きく分けて、「トレンドフォロー系」と「オシレーター系」の2つと「需給系」があります。
私はいつもテクニカル指標を使う時はどれか一つだけ用いるのではなく、「MACD」「ストキャスティクス」「ボリュームレシオ」、「ボリンジャーバンド」「ストキャスティクス」のように複合的に使っています。
私のように、系統が異なるテクニカル指標(「トレンドフォロー系」「オシレーター」「需給系」)を、複合的に使うとグッと勝率が上がりますよ。
トレンドフォロー系
トレンドフォロー系はトレンドを追いかけるテクニカル指標です。上昇トレンドや下降トレンドなど、トレンドが明確なときに有効な指標です。
オシレーター系
トレンドが横ばいを前提としているテクニカル指標です。オシレーター系は一定範囲で推移し、買われすぎ、売られすぎを示します。
見やすいのですが、強いトレンドには機能しない欠点があります。
需給系
相場における価格だけではなく、売買の出来高(ボリューム)を分析するテクニカル指標です。「出来高は価格に先行する」と言われるように、価格が上昇するときは出来高を伴うことが多く、価格が下落するときは出来高がほそることが多いです。
この出来高がどれだけあったかを元に、買われすぎか売られすぎかを判断する指標となります。