1人親方の移行化の問題とは、1人親方として表面上は請負契約を結ぶのですが、実態としては労働者である「偽装請負」であるとすることです。
これは、会社が社会保険料や労働保険料を負担するのが困難で従業員を独立させ、1人で仕事を請け負っている形式にしてしまうというものです。
本記事では、この1人親方の移行化の問題について解説していきます。

目次
1人親方の社会保険への加入義務
1人親方は元来、個人事業主のため労災保険法や労働基準法は適用されず、社会保険への加入義務は発生しません。
社会保険の加入条件(強制加入)としては次の通りとなります。
健康保険・厚生年金
- 法人事業所である
- 個人事業所であり、常時5人以上の従業員を使用している
雇用保険
- 常時1人以上の従業員を使用している
1人親方の移行化とは
社会保険加入が促進されると、本来加入義務があるのに保険料の納入を避けるために、1人親方等個人事業主に脱法的に移行しようとする動き見られます。
事実上は従業員でありながら、1人親方等個人事業主に移行させ形式上の請負契約を結ぶことを偽装契約といいます。
言うまでもなく偽装契約は違法就労となります。
偽装請負の典型的な例
偽装請負の典型的な例としては次の通りとなります。
①請負といいながら発注者が業務に関する細かい指示を出し、または出退勤や時間の管理を行う。
②現場に形式的に責任者を置いているが、その責任者は、発注者の指示を個々の労働者に伝えているだけで、実態は発注者の指示に従って労務を提供している。
③発注者がグループの代表者に仕事を発注し、代表者はその請負った仕事をグループの構成員に配分して請負わせ、構成員は発注者またはグループ代表者の指示を受けて仕事を行う。
④グループの代表者が仕事を請負い、その仕事を見合うだけの構成員を発注者の仕事現場に送り込み、代表者が請負代金、手数料を受け取る。
その他の違法就労
違法就労とは文字通り法律に違反する働き方をいいます。
建設業で多く見られる違法就労とみなされる働き方に、「偽装契約」以外では「偽装派遣」「偽装委託」「労働者供給事業」などがあります。
偽装派遣偽装派遣とは、その実態が労働契約にもかかわらず、形式上は労働者派遣として契約することをいいます。
偽装委託偽装委託契約とは、契約の形式を委託としながら、委託者が受託者を指揮命令して、従属的に義務に従事させることをいいます。
労働者供給事業労働者供給事業とは、労働者を供給する者が自己の雇用する労働者を他人に差し出して働けせることによって利益を得、供給先はその労働者を指揮命令して労働に従事させ、その労働力のみを利用する就労形態をいいます。
違法就労と罰則
事業者が法律に違反して違法就労をした場合は、次のような罰則を受けます。
罰則を受ければ、建設業許可も取消しとなります。(⇒建設業許可の欠格要件)
内容 | 罰則 |
偽装請負 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
偽装派遣、偽装委任 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
労働者供給事業 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
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いかがだったでしょうか?1人親方の移行化の問題についての解説でした。(⇒一人親方ガイドに戻る)
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下請業者に労務の提供のみを依頼しました。これは下請契約となりますか?労働契約となりますか?
建設工事の完成を目的としない単なる労務提供の依頼なら下請契約には該当しません。ただし、労務提供の手段が労働者の供給事業と判断された場合には、労働契約に該当せず、職業安定法または労働派遣法に違反するおそれがあります。