農薬や工業用薬品、試薬、塗料など化学物質のうち、毒性の強いものは法律上、製造、販売、貯蔵、運搬、廃棄等が規制されています。
これら毒物・劇物を販売許可を取得するには、「毒物劇物販売業」の登録申請が必要になります。
許可を取らないで、毒物・劇物の販売等営業をしてしまうと法律違反となり、知らないでは済まされない事態になってしまいます。
そうならないためにも、本記事ではこの毒物劇物販売業登録の流れについてしっかりと見ていきましょう。
目次
毒物劇物販売業登録とは
冒頭でふれたように、毒物・劇物を販売するためには登録が必要になります。
また、販売及び授与の目的で貯蔵、運搬、陳列するためにも登録が必要になります。
これはつまり、販売しなくても販売の目的のために貯蔵したり運搬したりしても法律違反となるのです。
法律を侵すことのないように、毒物劇薬を取り扱う前は、必ず登録の申請をしましょう。
毒物劇物と何なんでしょう?
では、いったいどういった物が毒物・劇物になるのでしょうか?
以下の表で、毒物劇物にあたる代表的な物を挙げておきます。
どれもこれも、口にしたり、触れたりしたら、命に危険がおよびそうなものばかりですね。
毒物とは | 毒物及び劇物取締法別表第一に掲げる物であって、医薬品及び医薬部外品以外のものです。黄燐、シアン化水素、シアン化ナトリウム、水銀、砒素化合物、ヒ素、セレン、フッ化水素などが指定されています。 |
劇物とは | 毒物及び劇物取締法別表第二に掲げる物であって、医薬品及び医薬部該品以外のものです。アニリン、アンモニア、塩酸、過酸化水素、クロロホルム、四塩化炭素、重クロム酸、シュウ酸、硝酸、塩素、キシレン、クレゾール、酢酸エチル、硫酸、メタノールなどが指定されています。 |
毒物劇物の表示方法
毒物劇物は、一見で分かるように容器に、医薬用外の文字及び赤地に白色で「毒物」、劇物の場合、医薬用外の文字及び白地に赤色で「劇物」と表示するよう義務付けれています。
普通のドラッグストアーでは売られていないものなので、一般的には、あまり目にすることもない表示です。
それもそのはず、これらが表示されている毒物劇物は厳重な管理が必要となるからです。
販売業者も管理下にある
以上で説明してきたとおり、毒物劇物は命に係わる物であるため、厳重な管理が必要になります。
一般の人が簡単に入手することができれば、自分の命どころか、他人の命まで脅かすことになりかねません。
そのため、国の元、販売業者を登録させ、しっかり管理する必要があるのです。
登録の種類とは?
毒物劇物販売業登録には、以下の種類があります。
・農業用品目販売業(農業用品目として一定の品目のみ販売・授与できます。)
・特定品目販売業(特定品目として一定の品目のみ販売・授与できます。)
また、これらの登録を行うにはいくつかの要件が必要になります。
この要件を具備したものしか許可が下りず、誰もが許可を取得することはできないのです。
では次にこれら要件についてみていきましょう。
登録に必要な設備とは?
登録するためには、次の基準に適合した設備が必要になります。
・毒物劇物を貯蔵又は陳列する場所に鍵をかけられる設備があること。貯蔵する場所が性質上鍵をかけることができないものであるときは、その周囲に堅固な柵が設けてあること。
・毒物劇物を貯蔵するタンク、ドラム缶、その他の容器は、毒物劇物が飛散し、漏れ、しみ出るおそれのないものであること。
・貯水池その他容器を用いないで毒物劇物を貯蔵する設備は、毒物劇物が飛散し、地下にしみ込み、又は流れるおそれがないものであること。
・毒物劇物の運搬用具は、毒物劇物が飛散し、漏れ、しみ出るおそれがないものであること。
なぜこのような設備が必要になってくるかというと、盗難や紛失を防ぐためです。
そのため、許可が下りてからもこれら設備の保持に加え、帳簿を備えた在庫管理体制が求められます。
毒物劇物取扱責任者とは?
毒物劇物を販売する場合、店舗ごとに専任の毒物劇物取扱責任者を置かなければなりません。
毒物劇物取扱責任者とは以下の資格を持つ者で、毒物劇物を取り扱う上での安全確保について責任を持つ、技術者のことをいいます。
・施行規則で定められている学校で、応用化学に関する学課を修了した者
・毒物劇物取扱者試験に合格した者
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毒物劇物販売業の登録申請に必要な書類は?
毒物劇物販売業の登録申請に必要な書類は概ね以下のものとなります。(※各自治体により異なります。)
②店舗平面図
③毒物劇物の貯蔵設備の概要図
④登記事項証明書(申請者が法人の場合)
⑤毒物劇物取扱責任者設置届
⑥毒物劇物取扱責任者の宣誓書
⑦毒物劇物取扱責任者の医師の診断書
⑧毒物劇物取扱責任者の資格を証する書類
⑨毒物劇物取扱責任者の雇用証明書
※毒物劇物を直接取り扱わない伝票操作のみの販売(注文を受けて仕入先へ注文し、現物は仕入先が販売先へ直接配送する)で、自ら運送又は運送の手配を行わない場合は、上記②、③及び⑤~⑨は不要です。
申請手続きのフロー
①毒物劇物販売業登録申請
↓
②現地調査
↓
③事務処理・決裁
↓
④登録
↓
⑤登録票の交付
まとめ
いかがだったでしょうか?以上が毒物劇物販売業の許可取得の流れでした。
ポイントとしては、各自治体によって提出書類が若干異なってくることです。
また、許可の取得にあたり、あらかじめ専門的な知識を習得しておく必要があります。
しかしながら、日々忙しい中で、これら専門的な知識を身につけるのは、簡単なことではありません。
そういった場合、専門的に手続きを行ってくれる行政書士事務所に依頼するのも一つの手かと思います。
当事務所に依頼すれば、法律的なアドバイスも含め面倒な申請も一任で行わせていただいております。
当事務所は、毒物劇物販売業の許可取得は数多くの実績があり、最も得意としているところです。
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