フリーランス保護新法とは?フリーランスの労働環境は守られる!?



フリーランス保護新法とは、フリーランスと発注事業者との「業務委託契約の適正化」を図る法律です。

フリーランスの労働環境の保護を目的とした、法律であり、正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)」と言います。

では、このフリーランス保護新法はどういった内容で、どのようにフリーランスの労働環境が守られるのでしょうか?

本記事で詳しくみていきましょう。

フリーランス保護新法の対象者

フリーランス保護新法とは?フリーランスの労働環境は守られる!?

フリーランス保護新法の対象者は、フリーランスである「特定受託事業者」と、業務委託を行う「特定業務委託事業者」となります。

特定受託事業者とは、物品の製造や、情報成果物の作成または役務の提供を指す「業務委託」をされる者であり、従業員を雇わない事業者のことをいいます。

フリーランス保護新法では、フリーランスを、この特定受託事業者と定義しています。

また一方、フリーランスに業務委託を行う発注事業者は「特定業務委託事業者」と定義しており、この特定業務委託事業者には、法人のみならず、個人事業主も、フリーランスに継続的に業務委託を行えば該当します。

フリーランス保護新法の具体的な内容

フリーランス保護新法の具体的な内容は、契約条件の明示や報酬支払い、フリーランスの就業環境の整備などに関するものとなります。

フリーランス保護新法は、昨今の多様的な働き方に対応するためにできた法律であり、比較的弱者になりやすいフリーランスの保護を目的とした、フリーランスの働き方や就業環境の整備をしたものとなります。

主として、以下の要領が盛り込まれています。

・取引条件の明示

・報酬支払い

・報酬減額、買いたたき等の禁止

取引条件の明示

フリーランスと発注事業者は、業務委託をした際の「取引条件を明確」に示すことが義務付けられます。

これはフリーランスと発注会社のみならず、フリーランス同士での受発注の場合でも義務付けられることとなります。

取引条件の内容には、以下の事項等が必要となります。

フリーランスの業務の内容
報酬額
支払期日
受託委託者の名称
業務委託をした日
給付の提供場所
給付の期日

60日・30日以内の報酬支払い

発注事業者は、原則として、給付を受領した日から60日以内での報酬支払いが求められます。

例えば、「月末締め/翌月末払い」の場合は、最大60日以内となるため60日以内の報酬支払となりますが、「月末締め/翌々月20日払い」の場合は最大80日の期間が開くため、フリーランス新法に抵触することとなります。

また、再委託であることや元委託の一定の情報をフリーランスに明示したときは、元委託支払期日から起算して30日以内に期間を短縮し、フリーランスに対し報酬を支払うひつようがあります。

報酬減額、買いたたき等の禁止

発注事業者は、フリーランスに対し継続的業務委託をする場合、以下の行為が禁止となります。

1. フリーランス側の責めに帰すべき理由のない成果物の受領拒否
2. フリーランス側の責めに帰すべき理由のない報酬の減額
3. フリーランス側の責めに帰すべき理由のない成果物などの返品
4. 相場に比べて著しく低い報酬の不当な決定
5. 正当な理由のない指定商品の購入または役務の利用の強制
6. 委託する事業者のために、金銭、役務そのほかの経済上の利益の提供を要請
7. フリーランス側の責めに帰すべき理由のない給付内容の変更、またはやり直しを要請

その他労働者類似の保護



フリーランス保護新法では、上記のフリーランス保護要項以外に、労働者類似の保護が準用されています。

主には以下の要項等となります。

・契約解除・不更新の30日前予告義務

・ハラスメント防止措置義務

・妊娠、出産、育児介護への配慮義務

・募集情報の的確表示義務

解説者
フリーランス保護新法に違反したら

公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣の、助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令の対象となります。

命令違反および検査拒否等に従わない場合は、50万円以下の罰金が科せられ、法人の場合は行為者と法人の両方に罰則が適用されます。

フリーランス保護新法成立の経緯

フリーランスは、個人で業務を遂行して生計を立てる弱い存在でありながら、必ずしも労働者ではないあいまいな存在となります。

労働者ではないため、労働基準法による保護も受けられず、この立場の弱いフリーランスのあり方がずっと問題視されていました。

古くは2005年の厚生労働省「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告書で議論がありましたが、近年、複数の省庁がこぞってこの議論を本格化させ、「フリーランスガイドライン」を制定し、その後フリーランス保護新法成立と至りました。

下請法との違い?

下請法の違いは、「保護が適用される資本金の制限」と「保護の内容」です。

下請法の場合、保護が適用される資本金には制限がありますが、フリーランス保護新法にはこれがありません。

また、保護の内容として、下請法が主に報酬の支払いがメインなのに対して、フリーランス保護新法は報酬支払いや就業環境の整備、ハラスメント対策なども含まれます。

フリーランス保護新法は個人事業主がメインの法律のため、個人事業主に特化しているのです。

フリーランス保護新法の影響

フリーランス保護新法により、フリーランスとそれを取り巻く環境に次のような影響があると取り沙汰されています。

影響1.フリーランスの保護が加速する?
影響2.フリーランスの立場が確立する!
影響3.フリーランスの負担が増大する?
影響4.フリーランスの仕事が激減する?

フリーランスの保護が加速する?

フリーランス保護新法を機に、フリーランスの保護が進み、労働者と同等に法律上守られる!?かもしれません。

しかしながら、フリーランスはあくまでも個人事業主のため、労働者にはなり得ません。

そのため、労働者とのボーダーラインをどこで決めるのかはこれからの課題となるでしょう。

フリーランスの立場が確立する!

今まであいまいだったフリーランスの立場が、フリーランス保護新法によって確立します。

これはフリーランスにとっては良い影響といえます。

いままで、なあなあの条件で仕事を請け負っていたものを、法律上はっきりさせます。

そのため、泣き寝入りなどの事柄も少なくなっていくと思います。

フリーランスの負担が増大する?

フリーランスの立場が確立すれば、責任所在もはっきりします。

今まで以上に責任は重くなります。

また、今まで口約束で仕事を受注していたものは、すべて書面で対応しないといけなくなります。

そのため、事務負担が増大するのは間違いありません。

フリーランスの仕事が激減する?

書面で契約を締結するには、事務コストがより必要になります。

そのため、今まで気軽に仕事を発注できていたものが気軽に頼めなくなります。

また、フリーランス保護新法では、ある程度労働者の権利を準用するため、そのためのコストも必要となります。

同じコストが必要になるなら、下請け会社に依頼するといったケースが増加するとも限りません。

これらをふまえ、フリーランスの仕事が激減するのでは?と懸念されています。

まとめ|フリーランス保護新法の理解を深めよう



フリーランス保護新法は、フリーランスと発注事業者の環境を適切に図るために、施工された法律となります。

そのため、この法律の理解に努め、対応することにより、お互いの信頼が構築されることとなります。

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