下請法とは?下請会社に委託するときに遵守しないといけない事柄!



下請法とは、独占禁止法を補完するために制定された、下請け企業いじめを禁止する法律です。

1956年に日本で初めて制定された、下請法ですが、昨今ではこれに違反する事件が年々増加傾向となっています。

では、なぜ下請法違反が年々増加傾向にあるのでしょうか?

主な理由として、悪質な業者の増加や、この法律の周知不足が挙げられます。

それでは、この下請法とはいったどのような内容の法律なのでしょうか?

この記事では、下請法について詳しく解説していきます。

下請法とは?フリーランス新法との違いは?

下請法とは?下請会社に委託するときに遵守しないといけない事柄!

下請法(正式には、「下請代金支払遅延等防止法」という。)とは、大きな企業が小さな企業や個人事業主に発注した商品やサービスの不当な返品、不当に代金を減額したり又は遅らせたりする行為を禁止している法律となります。

フリーランスに関しても従来ではこの下請法で保護されてきましたが、新たにフリーランス保護新法が制定されました。

フリーランス保護新法と下請法では、保護範囲と規制範囲に違いがあり、下請法は、資本金1,000万円超の事業者のみを規制対象としているのに対して、フリーランス保護新法では資本金の金額によらず企業は規制の対象となります。

なお、この下請法に違反していると、公正取引委員会の指導、勧告を受けたり、ホームページで公表されるなどの処罰を受けることとなります。

下請法が適用される取引とは?

下請法が適用となる取引は、「製造委託」、「修理委託」、「情報成果物作成委託」、「役務提供委託」の4種類です。

製造委託

物の製造や加工を、発注者側で規格や品質を指定したうえで、他社に発注する取引です。製品の製作や部品の製作委託がこれに当たります。

修理委託

物の修理を他社に委託する取引です。製造会社の工作機械の修理委託や、営業車の修理委託などがこれに当てはまります。

情報成果物作成委託

プログラムやコンテンツ、デザインなどの作成を他社に委託する取引です。自社で使用するプログラムやアプリ、コンテンツなどの作成委託がこれにあたります。

役務提供委託

運送やメンテナンス、倉庫保管、情報処理、その他の顧客向けサービスを他社に委託する取引です。運送やビルメンテなど各サービスの請負業務の再委託がこれに当たります。

下請法が適用される企業の基準!



下請法が適用される企業の基準は以下のとおりとなります。

物品の製造・修理委託、プログラム作成や運送、物品の倉庫保管・情報処理

・親事業者の資本金が3億円超で、下請け業者の資本金が3億円以下(個人を含む)の場合

・親事業者の資本金が資本金1,000万円超3億円以下で、下請け業者の資本金が1,000万円以下(個人を含む)の場合

情報成果物作成委託、役務提供委託

・親事業者の資本金が5,000万円超で、下請け業者の資本金が5,000万円以下(個人を含む)の場合

・親事業者の資本金が1,000万円超5,000万円以下で、下請け業者の資本金が1,000万円以下(個人を含む)の場合

下請法による親会社の遵守義務

下請法では、親会社は次の遵守義務が設けられています。

・発注書面の交付
・支払期日の設定
・取引記録の書類の作成・保存
・遅延利息の支払い

発注書面の交付

口約束による取り決めのトラブルを避けるために、親会社は下請会社に下請法第3条に基づいた書面(3条書面)を発行しなければなりません。

記載内容は、①発注者及び受注者の名称②発注日③発注内容(受注者が給付すべき内容の給付の内容)④納期(発注者が給付を受領する期日)⑤納品場所(発注者が給付を受領する場所)⑥発注者が検査をする場合は検査を完了する期日⑦代金の額または算定方法⑧代金の支払期日⑨手形で支払う場合は手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期⑩一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払可能額、親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日⑪電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日⑫発注者が受注者に原材料等を有償支給する場合は、その品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日、決済方法、の12項目になります。

支払期日の設定

支払期日は、納品から60日以内で設定しなければなりません。

もしも支払期日が設定されていなかったら、「納品物を受領した日」もしくは「受領してから60日が経過する日の前日」が、支払期日となります。

取引記録の書類の作成・保存

親会社は取引が完了したら、取引記録を5条書類として作成して、2年間の保存が義務付けられています。

遅延利息の支払い

親会社が代金を支払期日までに支払わなかったときは、受注者は納品した日から数えて60日を経過した日から、実際に支払いが行われるまでの期間の日数に応じた遅延利息を支払う義務が定められています。

遅延利息は年率14.6%を乗じた金額となります。

下請法による親会社の禁止事項



下請法による親会社の禁止事項は次のとおりとなります。

禁止事項に違反した場合は、公正取引委員会指導や勧告、ホームページでの公表、又は50万円以下の刑事罰などがあります。

・受領拒否や発注の取消し
・下請代金の減額
・下請代金の支払遅延
・不当な返品行為
・買いたたき行為
・自社商品の購入や役務の強制行為
・取引停止などの報復措置
・有償支給材料等の対価の早期決済
・割引困難な手形の交付
・不当な経済上の利益の提供要請
・不当な給付内容の変更および不当なやり直し

まとめ|法律にのっとった受注発注を行う

下請法に違反すると、処罰の対象となり、会社の評判を著しく落とすこととなります。

また、下請法は小さな会社や個人事業主を保護する目的で制定されており、これに違反するとこういった立場の方々や非常に困ります。

発注者・受注者が円満に取引を進められるように、まだ企業内で下請法にのっとったシステムを構築していない場合は、早急に整備しましょう。

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