内縁の妻の相続【特別縁故者】



特別縁故者という制度があり、条件が整えば内縁の妻にも相続権が発生する場合があります。

本記事では、この内縁の妻の相続について解説していきます。

行政書士
解説は相続手続きを専門としている行政書士がします。

事実上の配偶者、内縁の妻の相続権

事実上の配偶者や内縁の妻(夫)とは、結婚の意思はあるが、役所などに婚姻届を出さずに一緒に暮らす夫婦のことをいいます。

この婚姻届を出していない場合は、法律上での夫婦とはなりません。

そのため、どちらかが亡くなり、相続が起きた場合には夫婦間での相続をする権利がありません。

ただし、この内縁関係の場合、法律上では婚姻している事にはなりませんが、法律の上で、婚姻に準ずる関係(特別縁故者)として位置づけられています。

 

特別縁故者の財産分与

相続人不存在で相続人が現れずに清算後の相続財産が残っている場合、特別縁故者は家庭裁判所に財産分与の請求をすることができます。(⇒相続人不存在の詳細

行政書士
相続人となるべき親族がすでに死亡していたり相続放棄などで相続人がいなくなった状態を相続人不存在といいます。

財産分与を請求できる期間は、相続人不存在の確定後3ヶ月以内となります。

家庭裁判所の審判の結果、相当と認められる場合は財産の分与がされることとなります。

ただし、家庭裁判所が認めなければ、特別縁故者となる事はできません。

以下、家庭裁判所が特別縁故者と判断した者です。

・被相続人と生計を同じくしていた者
・被相続人の療養看護に努めた者
・その他被相続人と特別の縁故にあった者
被相続人と生計を同じくしていた者

被相続人と生計を同じくしていた者として内縁の配偶者、事実上の養子、亡くなった子どもの配偶者、継父母、叔父叔母など

被相続人の療養看護に努めた者

食事の世話や身の回りの世話を献身的にしていたり、老人ホームや入院先を訪れ親身に看病していた親戚や知人など

その他被相続人と特別の縁故にあった者

被相続人から援助を受けていた人や、精神的あるいは経済的に被相続と密接な関係にあった人で、その人に財産を分け与えることが被相続人の意思と合致すると推測できる場合など

 

遺言書による財産分与

家庭裁判所が認めなければ、特別縁故者になることができないのは上述したとおりです。

また、特別縁故者になったからといって、確実に財産を分与することはできません。

なぜなら、相続には法定相続と優先順位があるからです。

そのため、確実に内縁の妻に財産分与をしたい場合は、遺言による指定相続をする必要があります。

被相続人の財産は、被相続人本人のものですので、基本的に被相続人が自由に処分する事が可能となっています。

そのため、婚姻届の提出がない内縁の妻であっても、この遺言書にしっかり記載があれば相続をする事が可能となります。

ただし、この場合、血族などの法定相続人が存在している場合、最低限もらえる範囲となる遺留分に関しては侵害しないように記載してもらう事が後々揉めない為にも重要なポイントなるので気をつけましょう。

 

特別縁故者でなくても賃借権は相続できる

家庭裁判所が特別縁故者と認めなくても、内縁の妻が唯一問題なく相続できるものが、賃借権となります。

行政書士
正確には賃借権の援用といいます。

婚姻届を提出していないとしても、一緒に生活をしていたわけなので、一方が亡くなった時に住む場所まで奪ってしまっては、法律上の権利の乱用にあたります。

そのため、賃貸で住んでいる場合には、内縁の妻には賃借権が援用され、引き続きそこに住むことができます。

内縁の妻がいることを大家さんは了解していたのだから、夫と内縁の妻が共同で借りたようなものなので、夫が死んだからといって直ちに賃借権が終わるわけではない、ということになるのです。

 

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いかがだったでしょうか?内縁の妻の相続についての解説でした。(⇒遺産相続ガイドに戻る

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