遺留分とは【保証された相続分】



遺留分とは、一定の範囲で相続人に最低限保証された財産の取り分のことをいいます。

本記事では、この遺留分について解説していきます。

行政書士
解説は相続手続きを専門としている行政書士がします。

遺留分とは

遺留分とは、相続時に最低限このくらいは貰う事ができるという財産の取り分のことをいいます。

被相続人(亡くなられた方)の財産を誰にどのくらい渡すかが書かれている「遺言書」において、自分の貰える財産の取り分があまりにも少なかったり、1円も貰えなかったなどと不服がある場合、この遺留分に関する権利を法律上主張することができます。

法律では、被相続人の財産を、被相続人自身が誰にどのくらい分け与えるかなどについては被相続人本人の財産なので、自由に処分する事ができることとなっています。(⇒指定相続分の詳細

しかしながら、その場合相続人の中に不公平が起きる可能性があるため、最低限貰える取り分について法律が定めているわけです。

この遺留分に関しては、相続させる側である被相続人も自由に処分する事はできないことになっています。

 

遺留分が認められる割合と範囲

遺留分が認められている人は、被相続人(亡くなられた方)の配偶者と、子もしくは代襲者、そして直系尊属となります。

また、兄弟姉妹は、遺留分が設けられておりません。

行政書士
代襲者とは、代襲相続の事を意味し、第1順位である子が死亡などの理由によって相続できない場合は、その孫が相続する事を代襲相続と言います。

遺留分の割合に関しましては、以下のとおりとなります。

遺留分の割合
・相続分の2分の1
・直系尊属だけ相続分の3分の1

■遺留分の注意点

遺留分には、被相続人が生前、特別に与えた財産などについても同じように計算されます。
例えば、遺留分として100万円請求できる場合であっても、被相続人から生前に特別受益でお金を貰っているのであれば、それも遺留分として計算される事になる為、実際には100万円の請求ができない場合があります。(⇒特別受益の詳細

 

生前に贈与した財産も遺留分の対象

遺留分の対象となる財産は被相続人の死亡時の相続財産だけでなく、生前に贈与した次のものも含まれます。

・相続開始前1年以内の贈与財産
・遺留分を侵すことを双方が承知の上で贈与した財産

「相続開始前1年以内の贈与財産」の場合は、無条件で対象となる財産に取り込まれます。

また、1年より前であったとしても、「遺留分を侵すことを双方が承知の上で贈与した財産」についても遺留分の計算対象となります。

 

遺留分減殺請求

被相続人の財産については、被相続人が自由に処分できる事になっていますが、遺留分の範囲を下回っている相続分に関しては、その範囲について請求することができます。

つまり、遺贈や、贈与などによって、自分の遺留分の範囲を侵害されている場合は、遺留分を限度として贈与や遺贈などから財産を取り戻す事ができるのです。

この請求を、遺留分減殺請求といいます。

遺留分減殺請求をされた側の人は、それに代わるお金や、現物を返さなくてはなりません。

減殺請求をする方法としては、相手方に「意思表示」を行うことによって請求します。

ただし、意思表示をした相手方が応じない場合には、家庭裁判所での調停によって解決をすることとなります。

 

遺留分減殺請求の期限

遺留分減殺請求には以下の期限があります。

・遺留分を侵害されていることを知った日から1年以内
・相続開始の時から10年経過したとき

これらの、期間を過ぎた場合、遺留分減殺請求の権利は時効により消滅します。

行政書士
時効とは、その時間の経過によって効力がなくなることです。

つまり、遺留分減殺請求の権利は、遺留分の権利を持つ人が相続の開始、減殺する贈与・遺贈のいずれかを知った時から1年間以内に。

権利の侵害を知らなかった場合は、相続開始のときから10年経過すれば消滅することとなります。

 

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いかがだったでしょうか?遺留分についての解説でした。(⇒遺産相続ガイドに戻る

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