経営事項審査(経審)自己資本額および平均利益額【X2】



経営事項審査(経審)の「自己資本額および平均利益額(X2)」は総合評定値(P点)の15%をしめます。

W点は細々とした項目がありますが、X2点は、この自己資本額および平均利益額となり、経営事項審査ではかなり重要な項目となります。

本記事では、この「自己資本額および平均利益額」について詳しく解説していきます。

行政書士
解説は建設業許可・経審を専門としている行政書士がします。

経営事項審査(経審)の自己資本額および平均利益額とは

X2の評価項目は、「自己資本額」と「平均利益額」の2つからなります。

経営規模等の各評点(X1、X2、Z、W)と経営状況(Y)の評点に一定の係数をかけて得たものが「総合評定値(P)」になります。

これにはそれぞれ点数を占めている割合があります。

総合評定値(P点)の算出式
(P点)= 0.25(X1)+0.15(X2)+0.20(Y)+0.25(Z)+0.15(W)

経営事項審査(経審)の自己資本額および平均利益額(X2)

このうちの15%にあたる部分が、自己資本額および平均利益額(X2)となります。

また、X2の値については次の式により算出します。

X2=(自己資本額の点数+平均利益額の点数)÷2

 

自己資本額とは

自己資本額とは、貸借対照表の負債純資産合計から負債合計を引いた純資産合計のことを言います。

経審ではこの純資産合計のことを自己資本額といい、自己資本額が多いほど高く評価されます

評点の算出方法は、自己資本額は審査基準日と直前2年平均のどちらか有利な方を選択して使用することができ、下記表の区分に応じた算出式で求めることができます。

区分 自己資本額
評  点
金額 円以上 円未満
1 3,000億 2,114
2 2,500億 3,000億 63 ×(自己資本額)÷ 50,000,000 + 1,736
3 2,000億 2,500億 73 ×(自己資本額)÷ 50,000,000 + 1,686
4 1,500億 2,000億 91 ×(自己資本額)÷ 50,000,000 + 1,614
5 1,200億 1,500億 66 ×(自己資本額)÷ 30,000,000 + 1,557
6 1,000億 1,200億 53 ×(自己資本額)÷ 20,000,000 + 1,503
7 800億 1,000億 61 ×(自己資本額)÷ 20,000,000 + 1,463
8 600億 800億 75 ×(自己資本額)÷ 20,000,000 + 1,407
9 500億 600億 46 ×(自己資本額)÷ 10,000,000 + 1,356
10 400億 500億 53 ×(自己資本額)÷ 10,000,000 + 1,321
11 300億 400億 66 ×(自己資本額)÷ 10,000,000 + 1,269
12 250億 300億 39 ×(自己資本額)÷ 5,000,000 + 1,233
13 200億 250億 47 ×(自己資本額)÷ 5,000,000 + 1,193
14 150億 200億 57 ×(自己資本額)÷ 5,000,000 + 1,153
15 120億 150億 42 ×(自己資本額)÷ 3,000,000 + 1,114
16 100億 120億 33 ×(自己資本額)÷ 2,000,000 + 1,084
17 80億円 100億 39 ×(自己資本額)÷ 2,000,000 + 1,054
18 60億 80億円 47 ×(自己資本額)÷ 2,000,000 + 1,022
19 50億 60億 29 ×(自己資本額)÷ 1,000,000 + 989
20 40億 50億 34 ×(自己資本額)÷ 1,000,000 + 964
21 30億 40億 41 ×(自己資本額)÷ 1,000,000 + 936
22 25億 30億 25 ×(自己資本額)÷ 500,000 + 909
23 20億 25億 29 ×(自己資本額)÷ 500,000 + 889
24 15億 20億 36 ×(自己資本額)÷ 500,000 + 861
25 12億 15億 27 ×(自己資本額)÷ 300,000 + 834
26 10億 12億 21 ×(自己資本額)÷ 200,000 + 816
27 8億 10億 24 ×(自己資本額)÷ 200,000 + 801
28 6億 8億 30 ×(自己資本額)÷ 200,000 + 777
29 5億 6億 18 ×(自己資本額)÷ 100,000 + 759
30 4億 5億 21 ×(自己資本額)÷ 100,000 + 744
31 3億 4億 27 ×(自己資本額)÷ 100,000 + 720
32 2.5億 3億 15 ×(自己資本額)÷ 50,000 + 711
33 2億 2.5億 19 ×(自己資本額)÷ 50,000 + 691
34 1.5億 2億 23 ×(自己資本額)÷ 50,000 + 675
35 1.2億 1.5億 16 ×(自己資本額)÷ 30,000 + 664
36 1億 1.2億 13 ×(自己資本額)÷ 20,000 + 650
37 0.8億 1億 16 ×(自己資本額)÷ 20,000 + 635
38 0.6億 0.8億 19 ×(自己資本額)÷ 20,000 + 623
39 0.5億 0.6億 11 ×(自己資本額)÷ 10,000 + 614
40 0.4億 0.5億 14 ×(自己資本額)÷ 10,000 + 599
41 0.3億 0.4億 16 ×(自己資本額)÷ 10,000 + 591
42 0.25億 0.3億 10 ×(自己資本額)÷ 5,000 + 579
43 0.2億 0.25億 12 ×(自己資本額)÷ 5,000 + 569
44 0.15億 0.2億 14 ×(自己資本額)÷ 5,000 + 561
45 0.12億 0.15億 11 ×(自己資本額)÷ 3,000 + 548
46 0.1億 0.12億 8 ×(自己資本額)÷ 2,000 + 544
47 0.1億 223 ×(自己資本額)÷ 10,000 + 361

自己資本額がマイナスの場合には0として算出します。
算出した評点に小数点以下の端数があった場合は切り捨てます。

 

例えば、自己資本2億円で審査基準日の場合は次のようになります。

自己資本額2億円、審査基準日

区分:(33)2億円以上、2.5億円未満
算出式:19 × 200,000 ÷ 50,000 + 691 = 767

 

平均利益額とは

利益額は「利払前税引前償却前利益」といい、審査対象の事業年度と前年度の事業年度の営業利益と減価償却実施額の合計平均をとる方法で算出されます。

「利払前税引前償却前利益」とは、財務分析上の概念の一つで、税引前利益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値になります。

つまり自社で機械設備などの固定資産を多く保有する建設業者が有利になります。

算出方法は、損益計算書の営業利益に減価償却費を加えた額ですが、直近決算のみで評価を受けることができないので常に2期平均を使用します。

 

例えば、直前2年平均の利払前税引前償却前利益が4億円の場合は次のようになります。

直前2年平均の利払前税引前償却前利益が4億円

区分:(30)4億円以上、5億円未満
算出式:21 ×400,000 ÷ 100,000 + 744 = 828

 

経営事項審査(経審)評点アップ

評点のアップを狙うならば、自己資本を充実させることが第一となります。

自己資本とは、資本金と繰越利益剰余金からなり、これらは企業の長年の営業成果を蓄積したものとなります。

なので、急な向上を望まず、じっくり中長期で伸ばしていくに限ります。

自己資本率

自己資本比率が「会社の強さを表す指標」になるのは、自己資本が大きくなればそれだけ返済不要な資本が増えることになり、資金ショートや倒産の可能性が減るからです。

いくら利益が出ている会社でも、現金が足りなくなれば倒産してしまいます。

逆に言えば現金さえあれば、赤字が続いても倒産せずに生き延びることができます。

そのため、下記の事柄は会社がつぶれにくくなるという意味で、強い会社になるための大切なポイントであるということになります。

・返済しなくてよい自己資本が多い
・返済が必要な他人資本が少ない

設備投資

建設業者の根本は、建設機械等を用いて建設工作物を建設する事です。

ですから建設業者のこれらへの設備投資は、建設業者の施工能力を増加させ、生産力を高めることとになり、評価されるポイントとなってきます。

また、建設機械等への設備投資は、「防災活動への貢献の状況」にも大きく関わってきますので、こちらも確認しておきましょう。

 

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いかがだったでしょうか?「自己資本額および平均利益額」についての解説でした。(⇒経営事項審査の評価項目ガイドに戻る

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