労災上乗せ保険は、政府労災の上積みとして加入します。
加入する理由として、政府労災では足りない補償金額を補うためです。
経審では、労災上乗せ保険に加入している企業は労働者の待遇を厚くしていると捉え、15点加算されます。
本記事では、この「労災上乗せ保険」について詳しく解説していきます。
目次
経営事項審査(経審)の労災上乗せ保険とは
労災上乗せ保険(法定外労働災害補償制度)とは、政府が行っている労働災害補償制度(以下、政府労災)に上積みして労災補償を厚くする役割のものです。
通常の政府労災は、労働者が業務上の事由または通勤途中に負傷したり、病気に見舞われたり、あるいは不幸にも死亡した場合にはもちろん保険給付されます。
しかし、この法定給付だけでは、被災労働者の生計を補うのに充分とはいえません。
政府労災で足りない金額を補うために、企業は独自で法定外補償制度(民間の損害保険等)に加入することとなります。
一人親方は労災上乗せ保険に加入できるの?
一人親方とは従業員を雇わずに、元請業者や施主から仕事を請負う形態で仕事をしている人を言います。
雇用形態が日給月給のような常用形態の場合は、アルバイトと同じ労働者にあたるので元請の労災保険の適用対象となります。
しかし、請負で仕事をしている一人親方は個人事業主となるので、元請の労災保険は適用されません。(⇒建設業の労災保険の仕組み)
民間の労災上乗せ保険は、政府労災の上積み保険としての適用が絶対条件なので、政府労災が適用されない一人親方は対象外になります。
経営事項審査での労災上乗せ保険の要件
経営事項審査での提示書類はまず、大きく分けて2つになります。
一つは政府労災の加入確認が必要でないもの、もう一つは政府労災の加入確認が必要なものです。
- (公財)建設業福祉共差済団
- (一社)全国建設業労災互助会
- 全日本火災共済協同組合連合会
- (一社)全国労働保険事務組合連合会
これらの加入証明書があれば、政府労災の加入を証する書面は不要になります。
- 労働災害総合保険
- 準記名式の普通傷害保険
- 次の4条件が確認できる民間保険会社の保険
①業務災害および通勤災害のいずれも対象であること
②職員および下請負人の全てが対象であること
③死亡および障害等級第1級から第7級までが対象であること
④全ての工事現場を補償していること
経営事項審査(経審)評点アップ
労災上乗せ保険の加入が認められれば15点の点数アップになります。
この、労働福祉の状況は主に保険のカテゴリーで、どれも加入すれば点数がアップされるものばかりです。
経営事項審査(経審)の点数アップを考えているのであれば、即効性のあるこのカテゴリーが狙い目です。
項目 | 有・無 | 点数 |
建設業退職金共済制度の加入 | 有 | 15 |
退職一時金制度・企業年金制度の導入 | 有 | 15 |
法定外労働災害補償制度の加入 | 有 | 15 |
雇用保険の加入 | 無 | -40 |
健康保険の加入 | 無 | -40 |
厚生年金保険の加入 | 無 | -40 |
労災上乗せ保険の様々な特約を一部紹介
最近では、これら事故や作業中のケガなどを補償するもの以外の様々な特約が選べる保証もでてきています。
これら特約を選べれるのも民間保険の醍醐味ともいえるのではないでしょうか?
それでは、目についた面白そうなものを一部ご紹介します。
実際に契約するときは保険会社の意見も取り入れて決定してくださいね。
従業員のケガだけを補償するだけでなく、仕事を原因とする精神障害(うつ病等)、過労による脳・心疾患にも。
精神障害(うつ病等)による労災請求件数が年々増加しておりますので、ケガだけを補償する旧型の上乗せ労災保険ではなく、精神障害(うつ病等)にも対応できる上乗せ労災保険の加入(または見直し)をおすすめします。
従業員が業務でケガや病気、死亡した場合は、従業員を雇う企業、または個人事業主は法律上、慰謝料や逸失利益などを支払う事態に直面した際に高額な損害賠償金を払わなくてはならない場合があります。
これらについて、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して保険金を補償してくれます。
職場でのパワハラやいじめが原因で精神障害を発症し、職場を退職してその後、病からしばらく働けなくなってしまった。
などとなりますと従業員の労働環境に対して企業が責任を問われることが考えられます。
これら、パワハラや不当解雇等について、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対しての保険金を補償してくれます。
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いかがだったでしょうか?「労災上乗せ保険」についての解説でした。(⇒経営事項審査の評価項目ガイドに戻る)
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