建設業における社会保険(雇用保険)とは



雇用保険は、万が一の失業に備えるための社会保険制度です。

労働者が失業した場合の失業中の生活保障や労働者の職務能力を高めるための教育訓練への給付金を支給するような様々な制度があります。

本記事では、この雇用保険の制度や加入義務者について解説します。

行政書士
解説は建設業許可を専門としている行政書士がします。

雇用保険の適用事業とは

労働者を雇用する事業である限り、その業種や規模を問わず全てが適用事業となります。

 

雇用保険の被保険者の範囲

雇用保険の被保険者の範囲
次の者以外は全て被保険者となります。

また、よくある質問からですが、下記一定の期間・時間働くパートアルバイト、外注さん、一人親方(請負契約をしていない)も被保険者の範囲となります。

行政書士
外注さんや一人親方は、母体の事業者とどんな契約があろうと、請負い契約がない以上は従業員となるからです。
  • 65歳以後に新たに雇用される者
  • 個人事業主、法人の役員等
  • 継続して31日以上雇用されることが見込まれない者
  • 週所定労働時間が20時間未満の者
  • 週所定労働時間が30時間未満のもので季節的に雇用される者
  • 日雇労働者
  • 4カ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される者

失業給付(基本手当)を受けるための要件



基本手当は被保険者が定年や倒産、契約満了等により離職した場合、求職の申し込みをハローワークに行うことで基本手当の給付を受けることができます。

ただし、離職前に一定期間雇用保険の被保険者であることが条件ですが、この期間は離職の理由により異なります。

自己都合等の離職

→被保険者期間が12ヶ月以上で支給の対象になります。

解雇・倒産等の正当な理由のある自己都合退職

→被保険者期間が6ヶ月以上で支給の対象となります。

失業給付(基本手当)の金額

雇用保険で給付される1日あたりの金額を「基本手当日額」と呼びますが、これは離職した直前の6か月間で毎月決まって支払われていた賃金に応じて決まります。

直前の6か月間で毎月決まって支払われた賃金の合計額を180で割った金額のおよそ50%~80%(60歳以上65歳未満は45%~80%)の金額が基本手当日額となります

賃金が低かった人ほど高い割合で支給され、さらに失業休の日数も離職理由や年齢、被保険者であった期間なども考慮されます。

一般の離職者
被保険者であった期間 10年未満 10年以上20年未満 20年以上
65歳未満 90日 120日 150日
倒産または解雇による離職者
被保険者期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満
30歳未満 90日 90日 120日
30~35歳未満 180日
35~45歳未満
45~60歳未満 180日 240日
60~65歳未満 150日 180日

保険料の申告と計算・納付

雇用保険は一般、建設、農林水産・清酒製造の3種類の事業で区分され、事業ごとの雇用保険料率が設定されています。

計算された保険料は事業主と労働者で定められた割合で負担します。

労働者負担分は毎月の給料から控除されますが、事業主負担分は労災保険と同じ時期に合算して納付します。

計算方法は

保険料 = (保険年度に支払われた賃金総額-高年齢者賃金総額)× 雇用保険料率

その他の雇用保険の制度

その他の雇用保険の制度

技能習得手当

技能習得手当とは、基本手当の受給資格者が再就職に備えて公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に支給されます。

技能習得手当には公共職業訓練等の受講日数に応じて支給される「受講手当」と訓練を受けるために施設に通う旅費の「通所手当」があります。

寄宿手当

寄宿手当は、基本手当の受給資格者が公共職業訓練等を受けるために養っている家族のもとを離れて別居する場合に支給されます。

寄宿手当の月額は10,700円で、家族と別居して寄宿していた日数分を計算して支給されます。

傷病手当

傷病手当とは、基本手当の受給資格者が求職の申し込みを行った後、15日以上継続して病気やケガのために就職することができない場合に支給されます。

基本手当は求職の申し込み後、職業に就く能力と意思のある方に支給されますが、病気やケガで15日以上就労できない方には支給されません。

それをカバーするために傷病手当として基本手当日額相当額が受給資格者に支給されます。

高年齢求職者給付金

高年齢求職者給付金は、高年齢継続被保険者が失業したときに支給されます。

雇用保険の離職前被保険者期間に応じて、30日分または50日分に相当する金額が一時金で支給されます。

特例一時金

特例一時金は、短期雇用特例被保険者が失業認定をされた日に支給される給付金です。

特例一時金の給付を受けるためには、離職の日以前1年間で通算して6か月以上被保険者であった期間が必要になります。

日雇労働求職者給付金

日雇労働被保険者は事業主に使用される度に、日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙を貼り付けてもらいます。

日雇労働被保険者が失業したときには、失業の日の属する月の前2か月間で通算26日分以上の雇用保険印紙が貼りつけられていると日雇労働求職者給付金の支給を受けることが可能です。

雇用保険に未加入の場合はどうなるの?

行政書士
建設業界の人員不足を解消するために、若年就労者の労働環境を安定化させることも目的の1つになっています。

国土交通省は建設業の許可・更新時に社会保険等の加入状況を所定の様式で提出を求めて確認します。

社会保険未加入事業所に対しては、文書より加入を指導し、その指導に従わない場合には労働局に通報する通報制度を設けています。(⇒雇用保険に未加入ならどうなるの?

通報されればより厳しい行政指導が待っています。

行政指導が怖いや、すでに行政指導を受けてるなど、建設業における社会保険でお困りの場合は、アカツキ法務事務所までご相談ください。

建設業許可取得を依頼する

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いかがだったでしょうか?建設業における雇用保険についての解説でした。

建設業許可を取得するためには、あらかじめ専門的な知識を習得しておく必要があります。

しかしながら、日々忙しい中で、これら専門的な知識を身につけるのは、簡単なことではありません。

そういった場合、専門的に手続きを行ってくれる行政書士事務所に依頼するのも一つの手かと思います。

当事務所に依頼すれば、法律的なアドバイスも含め面倒な申請も一任で行わせていただいております。

当事務所は、建設業許可の許可取得は数多くの実績があり、最も得意としているところです。

また、建設業許可の取得代行はもちろん、決算変更届や変更届などの各種手続きをフルサポートさせていただいております。

行政手続きのプロによる手続き代行を求めているのであれば、是非アカツキ法務事務所へお任せください。

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