合同会社を設立する場合、定款の作成をします。
本記事では合同会社の定款作成について解説していきます。
目次
合同会社の定款作成
定款は、会社の目的や組織、業務などについて基本的なルールを定めたものです。
定款には、絶対に記載しなくてはいけない事項(絶対的記載事項)と記載しなくてもいい事項(任的記載事項)、記載しないと効力が発生しない事項(相対的記載事項)の3つがあります。
その中で、定款を作成するにあたり、最低限必要な事項が下記となります。
・商号
・目的
・本店および支店の所在場所
・社員の氏名または名称および住所
・業務執行社員の氏名または名称
・代表社員の氏名または名称および住所
・資本金の額
・社員の出資の目的およびその価格または評価の標準
・事業年度
・公告の方法
それでは、これらについてに見ていくことにしましょう。
また、定款のサンプルについてはこちらの記事をご覧ください。(⇒合同会社の定款サンプル)
定款の記載事項「商号」
商号とは、会社の名前のことです。
合同会社の商号を決定する際は、以下のルールに気を付けましょう。
また、会社設立で失敗しない会社名(商号)の決め方については、こちらもご一緒にご覧ください。(⇒会社設立で失敗しない会社名の決め方)
①「合同会社」という文字を商号中に使用すること
OK 「○○○合同会社」「合同会社○○」
②会社の一部門を示す文字は使用できない場合がある
NG 「合同会社○○大阪支店」
③使用するために、一定の要件や許認可が必要な言葉がある
許認可が必要 「銀行」「消費生活協同組合」「信託会社」「保険会社」「証券会社」
④使用できる文字には制限がある
使用可能な文字は、幹事、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字や「&」「’」「,」「_」「.」「・」などの符号になります。
OK 「○○&○○合同会社」
⑤「合同会社」を略すことはできない
NG 「(合)○○」
定款の記載事項「目的」
目的とは、設立する会社が行う事業の内容のことです。
目的を定める場合は、以下の注意点に気を付けましょう。
また、会社設立で失敗しない事業目的の決め方については、こちらもご一緒にご覧ください。(⇒会社設立で失敗しない目的の決め方)
①将来行うかもしれない事業も記載しておく
事業目的を定める場合には、現実に営んでいる事業やすぐに始めたい事業だけでなく、将来的に営もうとする事業も記載しておくほうがよいでしょう。
②許認可を要する業種
事業の開始時に許認可を要する業種が入っているときは、許認可の取得を検討しましょう。(⇒許認可が必要な業種)
定款の記載事項「本店および支店の所在場所」
本店所在地とは、本社を置く住所のことです。
定款に記載する方法は2種類あります。
①町名・番地まで記載する
下記のように、所在地が具体的にわかるように住所を町名・番地まで記載します。
「当会社は本店を大阪府大阪市北区茶屋町○○番△△号に置く」
②最小行政区画を記載する
下記のように、最小行政区域まで記載します。
「当会社は本店を大阪府大阪市北区に置く」
定款の記載事項「社員の氏名または名称および住所」
合同会社における社員とは、合同会社を設立する際に必要なお金を出資する人のことをいいます。
会社を設立する際にお金を出資する人は、必然的に社員として定款に記載しなければなりません。
また、法人が合同会社の社員になることも可能です。
合同会社の社員には、原則として会社の代表者として業務執行権と代表権があります。
そのため、他の会社との取引など重要なことも、一人ひとりの社員の名前と印鑑だけで契約を取り交わすことができます。
定款の記載事項「業務執行社員の氏名または名称」
複数名で合同会社を設立した場合、社員全員が経営参加するなら問題ないのですが、経営に参加したくない人もいます。
このような社員がいる場合は、「業務執行社員○○」と定款に定めることにより、業務執行権のある社員と業務執行権のない社員に分けることができます。
定款にこの業務執行社員を定めた場合、その社員は会社経営に参加する社員であり、業務執行社員と記載しない社員は出資するのみで会社経営に参加しない者となります。
定款の記載事項「代表社員の氏名または名称および住所」
代表社員は、合同会社の代表者を示す名称です。
業務執行社員を定款で複数名定めた場合、代表権を持つ社員が複数名存在することになります。
複数名の社員が会社の代表権を持ってしまうと、誰が責任者であるか不透明になります。
また、代表権を持つ各社員が勝手に契約などしてしまう可能性もあり、意志の統一が難しくなります。(⇒代表社員と業務執行社員とは)
そのようなトラブルを防ぐために株式会社の代表取締役のように、定款に定めることにより代表社員を決めることができるのです。
定款の記載事項「資本金の額」
合同会社の資本金も株式会社と同様に、1円から可能となります。
しかし、いくら資本金が1円から可能だからといって、資本金は会社の登記簿謄本に記載され、誰でも取得可能です。
もし、資本金額が少なすぎると対外的信用は0になり、いい結果にはならないでしょう。
資本金を多く設定するということは信頼性の表れであり、事業にかける熱意・真剣度の表れともいえます。
そういう意味では、あまり過少にならず、設定することをおすすめします。(⇒資本金額を決め方)
定款の記載事項「社員の出資の目的およびその価格または評価の標準」
「社員の出資の目的およびその価格または評価の標準」とは、合同会社を設立する際に社員となるものが資本金として振り込む金額のことをいいます。
合同会社の各社員は出資義務を負い、信用や労務の出資は認められておらず、また設立登記をするまでに出資金額の全額払込を要します。
社員が1名の場合は下記のように記載します。
「社員○○出資金額100万円」
また、社員が複数名いる場合は下記のように記載します。
「社員○○出資金額100万円。社員△△出資金額100万円」
定款の記載事項「事業年度」
「事業年度」とは、所得金額を計算する基礎となる期間のことを言い、株式会社や合同会社では、定款に定められた期間となり、通常は1年間の期間となります。
事業年度は自由に決められ、後から変更もできます。
決算月の決め方は、繁忙期を避けたり、税率上有利な時期にきめることが一般的です。
定款の記載事項「公告の方法」
「公告」とは、法律で決められた出来事が起きた場合に、その事柄を広く一般に知らしめることをいいます。
手段としては、次の3つの方法があります。
①官報に掲載する
②日刊新聞紙に掲載する
③電子公告に掲載する
なお、公告方法を定款で定めなかった場合は、自動的に官報に掲載することになります。(⇒官報公告とは)
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いかがだったでしょうか?合同会社の定款作成についての解説でした。(⇒合同会社(LLC)設立ガイドに戻る)
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