株式会社の設立手続きは、発起人(ほっきにん)を決定し、発起人会の開催からスタートします。
本記事では、この発起人と発起人会について解説していきます。
目次
会社設立時に必要な発起人とは
発起人とは、株式会社の設立の企画者として定款に署名した人のことをいいます。
自然人、法人問わず発起人になる資格があります。
発起人の数は一人から複数人なることができ、人数の上限はありません。
また、未成年者などの民法上の制限行為能力者でも法定代理人の同意があれば発起人になれます。
すべての取引には「義務」や「責任」が付きまといますが、未成年者のように判断能力が欠けている人に「義務」や「責任」を求めるのは難しいものがあります。
そのため「取消権等」を与えて保護をする制度が「制限行為能力者制度」であり、保護されている人が制限行為能力者です。
発起人の役割とは
発起人の役割とは主に、下記の事柄が挙げられます。
- 会社に出資をする
- 会社の重要事項をきめる
- 会社の定款の作成や認証など会社設立の手続きを行う
発起人は会社設立以降は株主として会社の意思決定に関与します。
発起人の責任とは
発起人は会社設立の役割を責任を負っていることから、会社設立までの行為に関し責任が規定されます。
具体的には、下記の事柄が挙げられます。
- 会社が設立できなかった場合は、その後処理の責任を負います
- 会社設立の役割を怠り、会社に損害を与えた場合は発起人が責任を負います
- 金額に達成しなかった場合は発起人が不足分を支払う義務を負います
発起人会とは
発起人が確定したら、どのような会社にするのか話し合う、いわゆる発起会を開催し、発起人議事録を作成します。
発起人会の開催
会社をつくろうと考えているみなさんは、先ず仲間を募って「どのような会社にするか」を発起人会を開催して、きめることになります。
発起人会では、発起人総代を選任し、そのもとで設立に関する事務を分担し、設立に関する事項を正式に決定していきます。
この決定事項は、後々のトラブルを避けるために口頭での口約束だけではなく、「発起人議事録」という形で書面にのこしておきます。
また、発起人が一人の場合は「発起人決定書」をもって、会社の大枠を確定します。
発起人会できめること
発起人会で決定する事項は下記の項目が挙げられます。
これらの項目が決定すれば、「発起人会議事録」「発起人決定書」の作成に入ります。
- 会社の商号・目的
- 発起人総代
- 会社設立時の発行株式数
- 株式1株の金額
- 設立に際して最低出資金
- 発行可能株式総数
発起人会議事録(発起人が2人以上の場合)の作成
発起人会議事録1通を作成します。
会社設立が完了するまで、しっかりと保管しておきましょう。
以下は、サンプルとなります。
発起人会議事録
平成〇〇 年 〇 月 〇 日 午後3時00分
大阪府大阪市中央区〇〇町〇〇-〇〇
において、発起人 3 名中 全員 が出席し、発起人会を開催した。
定刻 〇〇 太郎 は選ばれて議長となり、開会を宣し、ただちに議事に入った。
議案 発起人組合規約を定める件
議長は、株式会社を設立するにあたり、発起人組合規約を定めて、設立事務を円滑に進めることとしたい旨を述べ、その可否につきはかったところ、全員一致をもって、下記のとおり可決した。
記
1 商号は 株式会社会社設立.コム とすること。
2 目的は、次のとおりにすること。
1.経営コンサルタント業
2.国際標準化機構(ISO)認証取得コンサルタント業
3.各種資格取得講習会の主催及び通信教育事業
4.前各号に付帯する一切の事業
3 発行する株式の総数は 1000 株とする。
4 設立に際し株式 500 株を発行し、その発行価額は1株につき 5万 円とする。
5 設立に際して発行する株式は、発起人において全株を引き受けるとここし、株式の募集はこれを行わないものとすること。
6 設立に際して提供される財産の最低額は 1000万 円とすること。
7 発起人の員数は 3 名とし、その氏名、住所および各発起人が設立に際して引き受ける株式の数は後記のとおりとし、現物出資は行わないものとする。
8 発起人は、会社設立に関して報酬および特別利益を受けないこととし、会社の設立費用は発起人が負担するものとすること。
9 〇〇 太郎 を発起人総代と定め、発起人総代は発起人会を代表し、かつ、発起人会の多数決による決議に基づいて、定款を作成し、株式の払い込みに関する手続き、その他の会社設立に関する一切の事務を執行するものとすること。
10 払い込みを取り扱う金融機関および取扱場所
(取扱場所)大阪府大阪市
(名 称)株式会社 〇〇銀行 大阪支店
議長は、以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、 午後4時00分 に閉会した。
上記の決議を明確にするため、この議事録を作り、出席した発起人がこれに記名押印する。
平成〇〇 年 〇 月 〇 日
発起人 大阪府大阪市中央区〇〇町〇〇
〇〇 太郎 ㊞
引受株数 500 株
発起人 大阪府東大阪市△△町△△
△△ 次郎 ㊞
引受株数 300 株
発起人 大阪府堺市北区◇◇町◇◇-◇◇
◇◇ 花子 ㊞
引受株数 200 株
発起人決定書(発起人が1人の場合)の作成
発起人決定書1通を作成します。
会社設立が完了するまで、しっかりと保管しておきましょう。
以下は、サンプルとなります。
発起人決定書
平成〇〇 年 〇 月 〇 日 午後3時00分
大阪府大阪市中央区〇〇町〇〇-〇〇
において、発起人 〇〇 太郎 は次のとおり発起人規約を定めた。
記
1 商号は 株式会社会社設立.コム とすること。
2 目的は、次のとおりにすること。
1.経営コンサルタント業
2.国際標準化機構(ISO)認証取得コンサルタント業
3.各種資格取得講習会の主催及び通信教育事業
4.前各号に付帯する一切の事業
3 発行する株式の総数は 1000 株とする。
4 設立に際し株式 500 株を発行し、その発行価額は1株につき 5万 円とする。
5 設立に際して提供される財産の最低額は 1000万 円とすること。
6 設立に際して発行する株式は、発起人において全株を引き受ける。
7 発起人の員数は 1 名とし、現物出資は行わないものとする。
8 発起人は、会社設立に関して報酬および特別利益を受けないこととし、会社の設立費用は発起人が負担するものとすること。
9 払い込みを取り扱う金融機関および取扱場所
(取扱場所)大阪府大阪市
(名 称)株式会社 〇〇銀行 大阪支店
上記の決定事項を明確にするため、この決定書を作り、発起人がこれに記名押印する。
平成〇〇 年 〇 月 〇 日
発起人 大阪府大阪市中央区〇〇町〇〇
〇〇 太郎 ㊞
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いかがだったでしょうか?発起人と発起人会についての解説でした。(⇒会社設立の手続きガイドに戻る)
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