平成18年の新会社法の施工とともに最低資本金制度が撤廃され、資本金額を自由に決めれるようになりました。
以前は株式会社で1,000万円の資本金が必要だったのですが、現在では1円からの資本金で設立が可能となります。
しかしながら、1円など極端に資本金が少ない場合は、「信用が低い」「融資を断られる」「債務超過になりやすい」などの理由から不利益を受ける可能性があります。
本記事では、この資本金額の決め方について解説していきます。
目次
会社設立時の資本金額の決め方
資本金は、事業を始めるための元手となります。
この元手となる資本金を元に事業をスタートさせていくわけですが、金額が低すぎると設立しやすいというメリットがありますが、信用が低い、債務超過になりやすくなるという前述したようにデメリットがあります。
逆に、金額が高すぎると信用はあるけど、税制上不利益を受ける、設立しにくくなるといったデメリットがあります。
これらメリット・デメリットをふまえ、次の4つのポイントに注意して、資本金を決める事にしましょう。
- 運転資金(初期費用)
- 信用
- 許認可制度
- 税制
1.運転資金(初期費用)
運転資金とは、事業を運営していくために必要な資金の事をいいます。
まず設立するのに最低限必要な資金としての開業資金と、開業後に安定した収入を確保できるようになるまでの期間をカバーする資金としてのランニングコストを念頭にいれ資本金を考えましょう。
特にランニングコストについての資金計画をかなりしっかりたてないと、すぐに債務超過に陥りますので注意が必要です。(⇒黒字倒産を避ける運転資金)
設立するのに必要な費用とランニングコストは、下記のものが挙げられます。
- 定款や登記などの設立費用
- 事務所
- 設備・備品費
- 人件費
- 家賃
- 光熱費
- 広告費
2.信用
資本金は会社を運営するための資金であることのほかに、社会から信頼がある会社かどうかを判断される一つの指標にもなります。
みなさんは資本金が少ない会社と取引をしたいと思いますか?
やはり、資本金がそこそこあるしっかりした企業と取引をしたいですよね。
つまり、資本金が多いと、取引もスムーズになります。
3.許認可制度
官公庁の許認可がないと営業できない職種があります。
この許認可を取得するために、最低資本金の金額がきめられているものがありますので、注意が必要です。
会社を設立し、許認可を申請したところ資本金が足らないので増資した。
など、二度手間にならないように予め調べておきましょう。
代表的なものですと、下記の金額が必要になります。(⇒営業に必要な許認可とは)
- 建設業→500万円
- 有料職業紹介事業→500万円
- 一般労働者派遣事業→2,000万円
4.税制
資本金を税制面から考えた場合、大きく分けて次の3つのボーダーがあります
■~1,000万円
新規で会社設立する場合に資本金1,000万円未満にすると、基本的には設立以後2事業年度は消費税が免税になります。
また、1,000万円を超えると法人住民税の均等割が高くなります。
■~3,000万円
資本金3.000万円以下の法人の場合は「特定中小企業者等」に該当し、機械等を取得した場合、その取得価額の7%(ただし法人税額の20%まで)を法人税額から直接控除できる特例を受けれます。
■~1億円
資本金1億円以下の法人は「中小企業者」として、資本金1億円超えの法人に比べ、法人税の計算上、所得金額800万円まで軽減税率(15%)が適用できるなど、税務上様々な特例が受けられます。
資本金300万円~1,000万円の会社が多い!?
資本金とは会社設立後にあてる当面の運営費用です。
また、その会社の資本体力を客観的に示す判断材料にもなりますので、それらを念頭に入れ慎重に決めるようにしましょう。
その他、会社設立後すぐに効果的な資金調達方法として、創業融資の制度があります。
創業融資は無担保・無保証で融資を受けられる可能性もあり、積極的に活用したほうが良いです。
例えば、創業融資の場合、資本金の額の約2倍程度の融資が獲得できる可能性もあり、将来的に融資を検討する可能性のある方は、この制度を念頭に入れ資本金額を決めるようにしましょう。
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いかがだったでしょうか?会社設立時の資本金を決める4つのポイントの解説でした。(⇒会社設立の資本金ガイドに戻る)
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