給与計算とは【会社の税務】



会社設立後、役員報酬(給与)の支払いが始まれば、給与計算が必要になります。

では、給与計算とはどういったものなのでしょうか?

本記事ではこの給与計算の方法について見ていくことにしましょう。

給与計算とは

社長一人でも給与計算は必要になります。

例えば社長一人の場合、役員報酬は毎月定額になるので、給与計算も簡単そうに見えます。

しかし、実際は控除する社会保険や税金の計算が入ってくるので、専門の知識が必要になってくるのです。

以下の給与計算の基本となります。

総支給額(基本給+時間外手当や役職手当など)-控除額(社会保険や税金など)=差引き支給額

 

給与計算の各種控除の計算方法

健康保険料と
介護保険料
「協会けんぽ」の場合、都道府県ごとに定められた健康保険の料額表に基づく。健保組合の場合は、組合ごとに定められた健康保険と介護保険の料額表に基づく。
厚生年金保険料 全国一律に定められた厚生年金保険の保険料額表に基づく。厚生年金基金に加入している場合は、基金ごとに厚生年金保険料率や厚生年金基金の掛け金が異なる。
労災保険料 会社が全額負担。事業の種類によって保険料率が定められている。天引きは年に1度。
雇用保険料 厚生労働省の「雇用保険料率表」で、事業の種類によって被保険者本人の負担と会社負担の割合が定められている。
所得税 支給額から保険料控除後の金額を、国税庁による給与所得の源泉徴収税額表にあてはめて、所得税を算出。最終的な所得税の額は、1年間の所得に応じて決まるため、給与からの天引き額はあくまでも見込み額。そのため、年末調整で、1年間の所得が確定した年末に正しい所得を計算し、すでに支払った源泉所得税額との差額を調整する。
住民税 住民税額は、前年の所得に基づいて自治体側が計算。会社は送られてきた納入通知書の額を天引きする。

 

健康保険料の控除額

健康保険料については、全国健康保険協会の「都道府県ごとの保険料額表」の標準報酬に当てはめることで金額を求められます。

例えば、大阪府で社長の月額報酬が30万円の場合、22等級の行を確認することになります。

また会社と折半の(1/2相当額)の列を確認すると、保険料は15,285円となります。

健康保険料の控除額

保険料額表を使うときの注意点は、健康保険の保険料率は都道府県ごとに異なるということです。

 

厚生年金保険料の控除額

厚生年金保険料については、日本年金機構による保険料額表の表に当てはめることで金額を求められます。

例えば、上記の例で社長の月額報酬が30万円の場合、22等級の行を確認することになります。

また会社と折半の(1/2相当額)の列を確認すると、保険料は27,450円となります。

厚生年金保険料の控除額

なお、健康保険の保険料とは異なり、厚生年金の保険料は全国一律となります。

 

所得税の控除額(源泉徴収)

所得税は、国税庁が出している「月額表」という表に当てはめることで金額を求められます。

例えば、上記の例で社長の月額報酬が30万円の場合、源泉徴収額は8,420円となります。

所得税の控除額(源泉徴収)

 

給与計算の例(控除額を差し引く)

このような感じで、総支給額から控除額をどんどん差引いていきます。

上記の例から、社長の月額報酬が30万円の場合、

300,000円-15,285円-27,450円-8,420円=248,845円

となります。

 

社長の給与(役員報酬)は慎重に決める

社長1人の会社でも給料計算は必要です。

給与をいくらにするかは、最低賃金を上回っていれば会社が自由に決めることができますので、あまり高くすると所得税も高くなります。

また、社長の給料(役員報酬)は、下記のケースにいずれか当てはまれば経費にすることができます。

これら節税効果も念頭に入れ、慎重に給料(役員報酬)を決めたいところです。

・定期同額給与

議事録で決めた金額を毎月一定の時期に払い続ける給与。原則として役員報酬は決算後の3カ月以内に、年に1度しか変えられません。

・事前確定届出給与

事前に税務署に所定の時期と金額について届け出して支払う給与のこと。ただし、赤字の場合でも支払わなければいけない。

・利益連動給与

利益に応じて報酬を支払う給与のこと。ただし、同族会社は認められず、業務執行役員であることや、支給金額の算定方法など事前に設定しておかなければなりません。

 

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いかがだったでしょうか?給与計算についての解説でした。(⇒会社設立の手続きガイドに戻る

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